今こそ、未来を見通して自身の未来を創造せよ(アジア生産性機構(APO)事務局長)

今こそ、未来を見通して自身の未来を創造せよ(アジア生産性機構(APO)事務局長)

1.今回のインタビュー対象者に関して

サンティ・カノクタナポーンAPO事務局長 (写真提供:APO)

 

名前:サンティ・カノクタナポーン(Santhi Kanoktanaporn)事務局長

経歴:英国サンダーランド・ポリテクニックで化学博士号、サシン経営大学院で経営学修士号を取得。2016年9月に第11代APO事務局長に着任。40年以上にわたる生産性向上の取り組みや戦略的国際開発プログラムの推進に携わってきた経験を基に、現在および今後の課題に対処していかねばならない加盟国をサポートすべく、APO事務局にて組織改革や戦略的プランニングなどの一連の改革を進めている。

前職では、タイ生産性本部(FTPI)の理事としてタイ国工業省の生産性向上マスタープラン策定に携わる。FTPI以前には、タイ工業省管轄の非営利団体Foundation for Industrial Development for the Management System Certificationの代表を務める。そのほか、タイCB協会(CB Association of Thailand)の会長、米国商工会議所のタイ国担当官、シスメン社 (Sysmen Company Limited) のマネージングディレクターを歴任。

2.APOとは?

アジア生産性機構(Asian Productivity Organization:APO)とは、1961年5月11日に設立された、日本に事務局を置く、アジア太平洋地域における社会経済発展に寄与すべく生産性向上に特化して設立された国際機関である。

2018年1月現在、日本、タイ、シンガポール、台湾といった20の国・地域が加盟している。戦略的重点分野として、①各国生産本部の強化及び中小企業振興・地域発展の促進②イノベーション主導の生産性向上③緑の生産性の普及が挙げられている。

1961年という年は、OECDが設立された年でもある。細かには違えど、両者共に、加盟国の経済成長に寄与することを目的として同年に設立された。そして、OECDは地域別とは関係なく先進国を中心に規模を拡大してきた一方で、APOはアジア太平洋諸国を中心に規模を拡大してきた経緯がある。つまり、APOとは、まさにアジア太平洋地域で生産性向上に特化したOECDのアジア版と言える国際機関である。

3.デジタル時代における「スマート・イニシアチブ」

我々は、絶え間ない技術革新によりあらゆるモノ・コトが変化し、それも急速に変化する黄金時代(デジタル時代)にいる。サンティ事務局長体制の下、APOではそのような時代に加盟国が乗り遅れないように、最新技術を活用した「スマート・イニシアチブ」の推進を新たに図っている。具体的には、以下の3つのイニシアチブがある。

 

①スマート・インダストリー

第4次産業革命がもたらすAIなどの技術革新によって効率化される工業分野のこと。

②スマート・アグリカルチャー

労働集約的産業である農業のデジタル化・機械化を行い、効率的なデジタル・ファーム(筆者注:全ての農作業がデジタル化、機械化された農場を指す。)の実現。

③公共セクターにおけるスマート化

国もしくは市町村レベルを問わず、あらゆる行政などの公共セクターのスマート化・デジタル化を図ること。

4.なぜ日本に本部があるのか?

左手:サンティAPO事務局長 右手:JIROスタッフ(写真提供:APO)

 

政府間協定により設立された国際機関であるAPOの本部、正確には、事務局(筆者注:国際機関において、事務局は本部に相当することが多い。)は、実は日本の東京にある。その理由は、非常に単純で、日本生産性本部が中心になって設立に動いたからである。

しかしながら、この質問はやや奇をてらった質問のように思われるかもしれないが、これは極めて稀なことである。なぜなら、日本には、各種国際機関の日本事務所・アジア事務所があっても、国際機関の本部が少数しかないからである。

例えば、APOの他に、国際熱帯木材機関(通称:ITTO)や北太平洋漁業委員会(通称:NPFC)などがある。参考までに、日本発祥の柔道の国際組織である国際柔道連盟の本部は実はスイスにあり、その事務総局も日本ではなく、フランスのパリにある。

5.サンティ事務局長から将来グローバルに活躍したい若者へのメッセージとして

左:JIROスタッフ 右:サンティAPO事務局長 (写真提供:JIRO)

 

『若者よ、未来を見通す能力(Foresight Capability)を持て。』

この”Foresight Capability( 未来を見通す能力 )”という言葉は、インタビューの中で頻繁に出てきた。それ程、サンティ事務局長は、これからの時代に未来を見通して戦略を立てる能力を持つことを非常に重要視している。

その理由として、サンティ事務局長は、「国際機関に限らずどのような組織においても、これからは、AIなどの技術革新によって、人間の仕事の多くも代替されていくような時代に突入するからである」と語った。

また、「先見の明、それは、時代を先取りするために必要なのである。5年後、10年後の未来の世界なんて誰にも分るはずがないと思われるかもしれないが、だからこそ、(筆者補足:未来を見通す能力(Foresight Capability)が他人より少しでも優れていれば、)何が起きるか分らない世界において、今、手に入る情報をもとに、未来を見通して戦略を立て、自分たちの未来を創造することが重要なのである(Shape your own future)。」ともサンテイ事務局長は最後に語った。